ワールドワイド・アンダーグラウンド
ユニバーサル インターナショナル
エリカは自己演出力に長けたアーティストだが、今回はあえてラフな姿をさらけ出しており、その分、緊張感が生まれている。例えば4は、どちらかと言えば、淡々と進むファンクだが、エリカの生々しい語り口にぐいぐい引き込まれる。また、9はエリカ、クイーン・ラティファ、アンジー・ストーン、バハマディアが交互にラップを披露するナンバー。これも音楽的にはオールド・スクールなファンクだが、各々の生身の剥き出し加減がえらくカッコいい。
Top40方式で,キャッチーな曲だけを切り出してつまみ食いしたいリスナーにとっては受け入れがたいだろうが,好きな人にとってはたまらない魅力がある。
「Bump It」や「I Want You」では,ラフで軽妙なメロディーが展開し,白昼夢のように気だるくも心地よい雰囲気に浸っていると,突然冗長的アドリブが入り,混沌とした雰囲気に。思わず自分の居場所がわからなくなるような戸惑いを覚えるが,非常に習慣性の強いサウンドで病みつきになる。
個人的にはグルーヴィーでメロウな「Back In The Day(Puff)」や「Woo」あたりがお薦め。ジャジーなトランペットのソロとメロウなフレーズが交互に顔を出す「Think Twice」,「ディン,ディン,ドン」というスキャットがユニークなパーティー感覚の「Love Of My Life Worldwide」もいい。
これからR&Bを聴くというビギナーには少々難解だが,ヒットチャートを意識したステレオタイプのR&Bには飽きたという人にはお薦め。
他のアルバムと比べ評価がパッとしませんが
今までのアルバムと作風が違うからで、曲が悪いと言う訳ではない。
あと音が異常に良い。今まで聞いたすべてのCDの中でもトップ5に入るぐらい。
エリカ・バドゥといえば、デビュー作「バドゥイズム」の、ビリー・ホリデイを意識した泥臭いほどのオーガニックな作風が特徴だが、今回の作品では打ち込みを多様したり、DJが紡ぐスクラッチのようなテクスチャーを出したりと、これまでとはかなり異なるアプローチをしている。バドゥ自身がそのパイオニアのひとりといわれるネオ・ソウルについても「ネオ・ソウルは死んだ」とジャケットにも書いてある通り、これまでのバドゥとはひと味もふた味も違った作品だ。
それでは、これまでバドゥの作品を愛してきたファンは失望させられるのか、と聞かれたら、その答えはノーだ。いい意味での裏切りはあるが、これまでのリスナーを切り捨てるような裏切りは絶対にない。どんなスタイルであれ、そこから聞こえてくる声、歌唱は唯一無二のエリカ・バドゥのものにほかならないからだ。極上のクラブ・サウンドに乗ったバドゥの歌声は、どこまでもオーガニックで、人間味を感じさせる。パーカッションに乗った(2)のチャントを聞いて、バドゥらしさを感じない人がいるだろうか。
「デジタル・ワールドのアナログ・ガール」は、歩を進めながらもしっかりと健在している。